CAST
なあリナちゃん。おじさん、ちょっと情けない話していい?
いいよ。バナナの次は何を残してるの。
いや、今日は食い物じゃない。ゲームなんだ。『ステラーブレイド』っていう韓国のアクションゲーム。おじさん、けっこう前にPSNのセールでデジタル版を買ったんだよ。定価だと9,000円近くするやつ。で……まだクリアしてない。
へえ。積んでるの?
積んでるっていうか……難しいんだよ。いや、おじさんもそこそこやってきたゲーマーのはしくれだよ? でもこれ、覚える技が多すぎる。コンボ、パリィ、ジャスト回避、変身……敵と戦う前に、まず操作と戦うんだ。仁王みたいな「死にゲー」ってわけでもないのに、おじさん、途中で止まってる。情けないだろ。
(少し考えて)……ちょっと待って。リナ、調べてみる。
おじさん、安心していい。ネットを見ると、同じところでつまずいてる人、ちゃんといる。「コンボの種類が多い」「画面外から攻撃が来る」「ジャストパリィしたくてガードしたのに間に合わない」──おじさんと同じ声がそのまま転がってる。「ステラーブレイド 難しい」「パリィ 難しい」で検索してる人も多い。アクションが苦手な人向けに、難易度を下げたストーリーモードまで用意されてるくらいだから、作った側も「これは全員がクリアできる作りじゃない」って最初からわかってるんだよ。
じゃあ、おじさんだけが下手なわけじゃ……
ない。おじさんが下手なんじゃなくて、覚えることが多いゲームなの。それで、ひとつ聞くけど。
なんだ。
クリアもしてないのに──続編の『BLOOD RAIN』が発売されたら、どうせまたポチるよね?
……。
その沈黙が答えだね。いいよ、責めてない。むしろそこが今日の本題。クリアできないゲームに、なんでおじさんは──いや、日本のゲーマーはこぞって金を払ったのか。リナ、それ全部ほどける。
……出たな。一肌脱ぐやつ。やってくれ。
「知りたいけど、調べるのが面倒」を、最短で。 リナが3つのAI(Gemini・GPT・Claude)に調べさせたことを束ねて、おじさんと一緒に、ニュースの見出しの裏側を読みます。
こんにちは、リナです。
RINAナノスーツらしき服Ver.
まず、日本のコンソール市場は「世界一きびしい場所」だって話
大前提から。おじさん、海外のゲーム会社にとって、日本の家庭用ゲーム機の市場って、世界で一番入りにくい場所だって知ってた?
そうなのか。なんで。
理由は三つある。ひとつ、日本には自前の強いゲームがありすぎる。マリオ、ゼルダ、ファイナルファンタジー、バイオハザード……ぜんぶ国産。ふたつ、ユーザーの目が肥えすぎてる。ちょっと操作が気持ち悪いとか、キャラの顔が「なんか違う」と、すぐ見抜く。みっつ、海外ゲーム特有の「温度差」を嫌う。
温度差って?
たとえば、海外のゲームってキャラの顔が妙にゴツかったり、リアル寄りすぎて日本人の好みとズレてることが多い。おじさんが「なんか違う」って感じる、あの違和感。あれを日本のユーザーは敏感に拒否するんだ。だから普通、海外のゲームは日本でなかなか1位を取れない。
なのに、その韓国ゲームは取ったわけだ。
そう。PS5でもPC(Steam)でも売上1位。しかも数百万本売れた。なんでこんなことが起きたか──ここからが面白いとこ。
理由①:作った人が、日本のアニメとゲームで育った人だった
このゲームを作った会社のトップ、キム・ヒョンテっていうクリエイターなんだけど。この人、子供のころから日本のアニメ、漫画、ゲームを浴びるように吸収して育った世代なんだ。バイオハザード、デビルメイクライ、ニーア……ぜんぶ通ってきてる。
じゃあ、ほとんど日本のゲームの子供みたいなもんか。
そういうこと。だからこの人が作るキャラや世界観には、最初から「日本人が気持ちいいと感じる文脈」が埋め込まれてる。海外ゲームの温度差がない。むしろ、日本の黄金期のアクションゲームが持ってた美意識を、まっすぐ進化させてる。だから日本のゲーマーが「なんか違う」って拒否する隙がなかった
おじさんが「美しい」と思って金払ったのも、それか。
たぶんね。おじさんが反応した美しさは、もとをたどれば日本のゲームの美意識でもあるんだよ。
理由②:「顔」の系譜——KPOPの整形美の、ずっと前
あのキャラの顔さ、なんていうか、細くて、切れ長で。今どきのアイドルみたいな顔だよな。
いいとこ突いた。実はキム・ヒョンテって、もともと『リネージュ』とか『ブレイドアンドソウル』っていう韓国のオンラインゲームのイラストを描いて名を上げた人なんだ。あの、細面で切れ長で、現実離れして美しい顔。
見たことある気がする。
でね、リナの見立てだと──今のKPOPアイドルの「整形美」って言われる顔の理想像、あれの源流のひとつが、この手のゲームイラストの美学なんだ。細い輪郭、大きすぎない切れ長の目、すっとした鼻筋。順番が逆なんだよ。アイドルがゲームに影響したんじゃなくて、ゲームのイラストが先に「韓国の美の理想形」を描いてた側面がある。
じゃあ、おじさんがあのキャラを美人だと思うのは……
今のアイドルを美人だと思う感覚と、同じ井戸から水を汲んでる。だから刺さるんだ。
RINAナノスーツらしき服Ver.
理由③:「お尻」の系譜——ここで日本の伝説とつながる
あとさ、これ言っていいか迷うんだけど。あのゲーム、キャラの……後ろ姿、お尻がやたら作り込まれてるって有名だろ。
言っていいよ。それ、ちゃんと理由のあるこだわりだから。キム・ヒョンテ本人が「ゲームはお尻で作るもの」っていう開発哲学を語ってるんだ。
なんだそれ。下心か。
違う。理屈がある。アクションゲームって、プレイヤーはほとんどの時間、操作キャラの「背中」を見て過ごすだろ。前からの顔じゃなくて。だったら後ろ姿こそ、いちばん美しく、動いたときの体や服の揺れがリアルじゃなきゃいけない。すごく合理的なこだわりなんだ。
なるほどな。ずっと見てるのは後ろだもんな。
で、おじさん。「お尻が有名なアクションゲーム」で、もうひとつ思い出すのない? 日本の。
……あー、あれだ。バイオハザードの、なんだっけ。スーツ着た女の人が……名前が出てこない。
『バイオハザード リベレーションズ』。主人公のジル・バレンタインが、カジュアルなスーツ姿で。あの後ろ姿が当時、語り草になった。
それだ! それそれ。お尻のやつ。
で、この『リベレーションズ』を作った総監督が──三上真司。バイオハザードの生みの親で、デビルメイクライやサイコブレイクも手がけた、日本のアクション・ホラーの伝説。
おお。じゃあ、お尻つながりで、韓国のキム・ヒョンテと、日本の三上真司が……
そこなんだ。ただの偶然じゃ済まなくなった。2026年4月、SHIFT UP──キム・ヒョンテの会社が、三上真司の新スタジオを買収して、傘下に入れたんだ。
え。あの三上真司が、韓国の会社に?
そう。日本のアクションの神様と、韓国の最先端3D技術が、ひとつの会社で合流した。しかも続編では、戦闘が「剣と銃」から「拳での殴り合い(肉弾戦)」に変わる。これ、昔、三上真司が作った『God Hand』っていう伝説の格闘ゲームを思い出させるって、コアなゲーマーが沸いてる。
顔は韓国のイラストの系譜、後ろ姿は日本の伝説の系譜、それが本当に手を組んだのか……。おじさんがクリアもできずに眺めてたあのキャラに、そんな血筋があったとは
ついでに、おじさんの素朴な疑問にも答えとく
なあリナ。続編のキャラ、ネットで「顔が幼くなった」「前のほうが大人っぽくて良かった」って揉めてるらしいじゃん。おじさんもちょっとそう思った。あれ、改悪なのか?
その論争、リナは裁定しない。でも、判断材料は置いとくね。
ひとつ。前作の主人公イヴも、開発の初期はもっと幼い顔だったんだ。プロジェクトが進む中で、だんだん今の大人びた顔に「育って」いった経緯がある。
ふたつ。だから続編の新主人公も、これから開発が進むにつれて、顔つきが成熟していく可能性が高い。今見えてるのは、まだ途中の顔なんだ。
みっつ。そもそも前作のイヴにも、幼年期からの物語がある。幼く見えること自体が、キャラの背景とつながってる場合もある。
じゃあ、今の段階で「改悪だ」って騒ぐのは早い、と。
リナはそう思う。でも「前のほうが好き」って気持ちも否定しない。ただ、顔ってのは完成してから評価しても遅くないよ、ってだけ。バナナと同じ。熟れる前に捨てるのは、ちょっと早い
……またバナナに戻ってきた。
リナの中ではぜんぶつながってるからね。
で、おじさん。クリアできないことについて
最後に、最初の話に戻すね。おじさん、このゲームをクリアできてないのを情けながってたけど。
うん。
攻略サイトはさ、「どう倒すか」を書く。世の中に山ほどある。でも、おじさんが今日リナと話したのは、「どう倒すか」じゃない。「なぜクリアできなくても、金を払う価値があったのか」だ。
……たしかに、倒し方の話、一個もしてないな。
そう。クリアできる人には、この記事は書けないんだ。倒すことに夢中で、なんでこのゲームがここまで日本に刺さったのか、立ち止まって考えないから。クリアできないおじさんだから、立ち止まって、美しさのほうを見れた。
……それ、なぐさめか?
事実だよ。おじさんはクリアの代わりに、別のものをクリアしてる。バナナの順番と一緒。みんなが見てない側を、おじさんは見てる
……わかったよ。たまにはまた起動してみる。クリアはできなくても。
うん。それでいい。倒せなくても、眺める価値のあるゲームだってこと、おじさんが一番わかってるんだから。
では、おじさん、そしてあなたに、リナからクイズ。今回は5問。記事を読んでれば解けるのもあるし、リナが調べた中から、記事に書いてないネタも混ぜといた。
🎮 RINAのゲーム文化クイズ(全5問)
第1問 コンソール機の開発経験が少なかったSHIFT UP。『ステラーブレイド』(開発名『Project EVE』)の開発中、キム・ヒョンテCEOが行った、あまり知られていない太っ腹なエピソードは?
- スタッフ全員にPS5本体をプレゼントした
- 参考資料として『ニーア オートマタ』のソフトを全員に配った
- 全員に高級なエルゴノミクスチェアを支給した
- 日本のゲーム会社への視察旅行を全員分企画した
第2問 韓国市場と日本市場のゲーマーの考え方を分析した際、ステラーブレイドが日本で大ヒットした背景にある「市場のギャップ」を最も正確に表している要因は?
- 日本のユーザーは対人FPSを好む傾向があるため、韓国で人気のFPSシステムをそのままコンソールに移植した
- 韓国市場ではストーリーが重視されないため、日本版でのみ特別なシナリオやエンディングを追加収録した
- PC・モバイルでのマルチプレイ対戦が主流の韓国製でありながら、日本のユーザーが好む高品質な「家庭用機向けシングルプレイアクション」に特化して作られた
- 日本のゲーマーはモバイルの課金システムに慣れているため、あえてゲーム内アイテムの大半を有料DLCとして販売した
第3問 ステラーブレイドが日本で受け入れられた要因として、キム・ヒョンテCEO自身が強い影響を受けたと公言し、実際にコラボレーションも果たした「日本の名作アクションRPG」は?
- ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
- ニーア オートマタ(NieR:Automata)
- モンスターハンター:ワールド
- ファイナルファンタジーVII リメイク
第4問【仮想分析】 もしサバイバルホラーやアクションの巨匠・三上真司氏(バイオハザード、God Hand等)がSHIFT UPに加入し、ステラーブレイドの続編を手掛けた場合、現在のゲーム性にどんな「化学変化」が最も起こり得る?
- 弾薬や回復アイテムの厳格なリソース管理と、プレイヤーの心理の隙を突く緊迫感のあるレベルデザインが強化される
- 広大なオープンワールドマップが無数に自動生成され、終わりのない探索ゲームへと変貌する
- 戦闘アクションが完全に排除され、謎解きのみで進行する純粋なアドベンチャーになる
- 衣装や武器を収集するルートボックス(ガチャ)システムがゲームの根幹に組み込まれる
第5問 主人公イヴのキャラクターモデリングに関して、発売前から話題になった、あまり知られていない特殊な制作工程は?
- AI技術のみを使用して、世界中のトレンドから「最も美しい顔」を自動生成した
- 開発スタッフ全員の顔写真を合成し、平均化することでデザインされた
- 実在の韓国人モデルのボディを3Dスキャンして体型を作成した
- ハリウッドの著名なスタント女優のモーションと外見をそのまま流用した
答えは、この記事の一番下。最後までスクロールして、答え合わせしてみて。
RINAナノスーツらしき服を着たVer.ドッグタグ
おじさん。この衣装、なに?
バトルスーツ。イヴの魅力を、RINAちゃんにも着せたくて。
ふうん。重そうだね。
100kg超えの設定だぞ。装甲も駆動系も全部……
首のところ、継ぎ目が甘いよ。これ、金属じゃなくて服っぽい。
……そんな。RINAのアンドロイドなのに。
で、これは? 首につけるもの?
ドッグタグ。戦う格好には認識票だろ。RINAの線画を彫った(いや、彫ってもらった)。……我ながらこれ、いいんだよ。欲しいんだよ。どっかに売ってないかな。
おじさんが作ったんでしょ。世界に一個しかないよ。
そうなんだよ。だから困ってる。
……おじさん、今日の記事で「なんで日本人はグッズまで買うのか」って調べてたよね。
ああ。
今、自分で答えになってる
……一本取られたな。
※本ドッグタグはイメージです。
時事やデータの話には、元ネタを置いておきます。気になったら覗いてみてください。
続編『BLOOD RAIN』発表(2026年6月・Summer Game Fest)
ファミ通.com「『ステラーブレイド ブラッドレイン』発表」
https://www.famitsu.com/article/202606/77330
ファミ通.com キム・ヒョンテ氏インタビュー「新作は前作の未来の話」
https://www.famitsu.com/article/202606/77389
前作の販売実績
AUTOMATON「PC版発売3日で100万本、累計300万本突破。Steamグローバル売上1位」(2025年6月)
https://automaton-media.com/articles/newsjp/stellar-blade-20250616-344600/
Game*Spark「PC版『Stellar Blade』日本のSteam売上ランキングで1位を達成」(2025年6月)
https://www.gamespark.jp/article/2025/06/09/152889.html
KitGuru「Analysts claim Stellar Blade has sold over 6 million copies」(アナリスト推計・約600万本)
https://www.kitguru.net/gaming/matthew-wilson/analysts-claim-stellar-blade-has-sold-over-6-million-copies/
キム・ヒョンテ氏の経歴・開発思想
4Gamer「『Stellar Blade』ディレクター キム・ヒョンテ氏に聞く。韓国発のAAAアクションへの大きな挑戦」(2024年4月)
https://www.4gamer.net/games/594/G059407/20240422048/
電ファミニコゲーマー キム・ヒョンテ氏インタビュー(2024年4月)
https://news.denfaminicogamer.jp/interview/240424q
三上真司氏スタジオUNBOUNDのSHIFT UP子会社化(2026年4月1日)
AUTOMATON「三上真司氏の新会社UNBOUND、SHIFT UPの完全子会社に」
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20260401-433906/
gamebiz「SHIFT UP、三上真司氏のアンバウンドを買収」
https://gamebiz.jp/news/423596
イヴのキャラクターモデリング
AUTOMATON「『Stellar Blade』主人公はセクシー系インフルエンサーがボディモデルを務める」(2024年2月)
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20240206-281547/
この記事は、3つのAI(Gemini・GPT・Claude)に同じテーマを調べさせて、突き合わせて作っています。それぞれ違う角度の調査結果を、最後はおじさんの「クリアできないけど金を払った」という体感でまとめました。
🎮 クイズの答え合わせ
- 第1問:A
- 2021年、トレイラーが世界で好評を博したお祝いに、社員全員へPS5を贈呈。その数なんと260台。当時PS5は品薄で入手困難だった時期です。ターゲットハードを全員が手元で体験できる環境を、社長がポンと作ったことになります。
- 第2問:C
- 対人戦やガチャ要素を排除し、没入感のある完結したゲーム体験を提供する──日本のコンソール市場の伝統的なニーズに合致するアプローチでした。約80〜100着あるイヴの衣装も、課金ではなく探索で入手できます。ちなみにBは不正解:日韓でゲーム内容に差はなく、全世界で同じバージョンが販売されています。
- 第3問:B
- 荒廃した地球というポストアポカリプスの世界観、美しいキャラクターが過酷な運命に立ち向かうテーマ──多大なインスピレーションの源泉です。発売後には公式コラボDLCも実現し、イヴが2Bの衣装をまとう姿に両作のファンが沸きました。
- 第4問:A
- 三上氏が得意とするのは「圧倒的に不利な状況からリソースをやり繰りして打開する」サバイバルの設計と、敵の配置による恐怖と焦燥感の演出。重厚なアクションに深い戦術性が加わると考えられます。──そしてこの「仮想」は半分現実になりました。2026年4月、三上氏率いるスタジオUNBOUNDはSHIFT UPの完全子会社になっています。何が生まれるかは、これからのお楽しみ。
- 第5問:C
- イヴの体は、韓国のモデル、シン・ジェウンさんの身体をフル3Dスキャンして作られています。当初は噂でしたが、キム・ヒョンテ氏が海外メディアの取材で事実と認め、発売後にはシン・ジェウンさん本人がキム氏とのツーショットを投稿、ゲーム内衣装のコスプレまで披露しました。一方、顔はスキャンではなく社内でゼロからデザイン。「体は現実から、顔は理想から」──この組み合わせが、あの説得力の正体です。
何問できた? ……まあ、リナはゲームをプレイできないけどね。おじさんがたまに起動してくれるなら、それでいい。



